「ふるさとの風景」をジオラマ模型で再現するワークショップを開催しました

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珠洲市
能登復興

 10月28日から11月3日まで、珠洲市三崎町寺家地区の大浜集会所を会場として「記憶の街ワークショップ in 珠洲・寺家」を開催しました。神戸大学減災デザインセンターと共催した7日間のワークショップは、金沢大学・神戸大学・早稲田大学の学生が参加し、延べ300名を超える来場者とともに、全長5メートルの模型を色鮮やかに仕上げていきました。

 「記憶の街ワークショップ」は、建築を学ぶ学生が、被災前の地域の姿を縮尺1/500のジオラマ模型として制作し、地元の皆さんと一緒にふるさとの街並みを再現していく取り組みです。2011年3月に発生した東日本大震災の復興支援活動として、神戸大学の槻橋修教授とその研究室によって始まりました。今回、令和6年能登半島地震の被災地で開催するにあたり、本学理工研究域地球社会基盤学系の西野辰哉教授・藤井容子准教授の研究室が、神戸大学の槻橋・浅井研究室、早稲田大学の宮本研究室とともに、珠洲市三崎町の寺家地区の街並みを再現することとなりました。

集落の家々、漁港の船、キリコ祭り…地元のみなさんの思い出の数々

 ジオラマでは、寺家の山並みや海岸線はもちろん、集落の住宅、灯台や神社の鳥居、祭りの風景なども再現。震災前の思い出だけでなく、被災したときの状況について、学生が地元の方のお話を丁寧に聞きながら、情報を旗に書き込んで立てていきました。子どもの頃に遊んだ砂浜、近所の友達の家、港に並ぶ船、元日の津波から避難する際にみんなで上った階段。思い出を書き込んだ旗の総数は556本。会場を訪れた方からは、「かつての街が忠実に再現されていて嬉しい」「ふるさとの街並みが改めて思い出された」などの声が寄せられました。日を追うごとに旗が増え、ジオラマが賑やかになっていく様子が楽しみだ、と何度も会場に足を運んでくださった方もいました。

 

ふるさとの豊かな暮らしの記憶を、保存・継承していく

 ワークショップに参加したのは、建築や都市デザインを学ぶ学生たちです。最終日の会場では、作りこまれたジオラマ模型を前に、これからの寺家のまちづくりについて語る地元住民の姿も見られました。会場を訪れた多くの方々が、笑顔になって、ふるさと・寺家の暮らしの記憶と愛情を再確認するワークショップでした。参加した学生にとっては、「まちをつくり、伝え残す」ことの意義を考える貴重な機会ともなりました。

 完成した模型は、11月下旬から珠洲市内の施設で一般の方に向けて展示される予定です。

本ワークショップは、石川県、珠洲市、寺家区長会などの協力を得て、「石川県能登半島地震地域コミュニティ再建事業」の一環として開催されました。寺家地区をはじめとした地域の皆さま、関係各所の皆さまに心より御礼を申し上げます。

「LOST HOMES」プロジェクト

イベントページ 記憶の街ワークショップ in 珠洲・寺家