令和6年能登半島地震に伴う
石川県金沢市田上新町と内灘町における土砂災害の調査速報

理工研究域地球社会基盤学系
ジェンキンズ ロバート 准教授

土砂崩れ
地震災害
液状化

 理工研究域地球社会基盤学系のジェンキンズ ロバート准教授と、静岡大学理学部/防災総合センター長の北村晃寿教授、砂防図書館の石川芳治館長の共同研究グループは、令和6年能登半島地震に伴う石川県金沢市田上新町と内灘町における土砂災害を調査し、田上新町の盛土崩壊の原因究明に関する重要な情報を得ました。

 2024年 1月 1日 16時 10分に石川県能登地方において、深さ約15 km でマグニチュード(M7.6)の地震(令和 6年能登半島地震)が発生しました。この地震により、石川県金沢市田上新町の崖地の一部で盛土崩壊が起きました。また、石川県内灘町西荒屋一帯で液状化・流動化現象(※1)が発生しました。

 本研究では、両地点で、現地調査を行うとともに、盛土の土砂や噴砂した砂などを採取し、粒度分析を行いました。その結果、盛土の一部は、粒子の大きさが良く揃った軟弱な細粒砂であることが分かりました。

 これらの知見は、将来、金沢市とその周辺の地震防災対策に活用されることが期待されます。

 本研究成果は、2024年 3月 2日付けで日本第四紀学会の『第四紀研究』に受理され、2024年 5月に J-STAGE に公開予定です。

 

図1 a:令和 6年能登半島地震の震央と調査地点の位置図。地図は国土地理院(2024)を使用。b:石川県金沢市田上新町と試料 6と 7の採取地点。地図は国土地理院(2024)を使用。矢印は cの航空写真の撮影方向。c:盛土崩壊現場の航空写真(パスコ、 2024)と試料1~5の採取地点。d:田上新町の滑落崖に見られる未崩落盛土。e:dの写真の拡大と試料 1と 2の位置。数値は上から平均粒径(Φ)、標準偏差(Φ)、含泥率(%)。以下の fと g、および図 2でも同じ。f:壊れた家屋と試料 3と 4の採取地点。g:壊れた家屋と試料 5の採取地点。dと gで調査している研究者はジェンキンズ ロバート准教授。  

 

 

動画:金沢市田上新町の金沢市田上新町の未崩落盛土の映像。映像内、調査している研究者は金沢大学のジェンキンズ ロバート准教授であり、盛土が柔らかい様子が分かります。(映像資料提供:静岡大学 北村晃寿 教授)

 

 

 

【用語解説】

※1 液状化・流動化現象

 粒子間に隙間がある時、地表近くでは水が満たされていることがあります。この水を間隙水と言い、その圧力を間隙水圧と言います。地震動は、間隙水圧を上昇させます。その結果、粒子間の接点で支持していた地圧と間隙水圧が平衡に達し、粒子は間隙水中に浮遊します。これを液状化現象と言います。間隙水圧がさらに上昇すると、間隙水は低圧側(上方)へ移動します。これを流動化現象と言います。

 

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【研究者情報】
 理工研究域地球社会基盤系  ジェンキンズ ロバート 准教授