令和6年能登半島地震による珠洲市の海岸隆起について
理工研究域地球社会基盤学系
平松 良浩 教授
理工研究域地球社会基盤学系の平松良浩教授は、令和 6年 1月 12日に珠洲市狼煙漁港(折戸地区)において、生物指標を用いた海岸隆起量調査を実施したところ、令和 6年能登半島地震により、約 1.2 mの隆起が生じたことが明らかとなりました。この場所では、令和 5年のマグニチュード 6.5の地震で 20 cm程度の隆起があったと考えられていましたが、今回の調査では 2回分の隆起を見出すことはできませんでした。したがって、今回推定された約 1.2 mの隆起量には、令和 5年の M6.5 の地震による隆起が含まれている可能性があります。
また、令和 6年 1月 20日にも生物指標を用いた海岸隆起量調査を実施し、珠洲市狼煙漁港(狼煙地区)では約 1.5 m 程度、珠洲市寺家漁港では約 0.8 m 程度の隆起が推定され、狼煙漁港(狼煙地区)から海岸線を南に下がるにつれ、隆起量が減少する傾向があることが分かりました。
能登半島の海岸線では、北西部の輪島市で約 4 m の隆起があったことが報告されていますが、能登半島北東部でも 1 m 程度の海岸隆起があることが明らかとなり、能登半島西岸から北岸にかけての海岸で、大きな隆起が令和 6年能登半島地震により生じたことが分かりました。
この結果は、令和 6年能登半島地震の原因であると考えられる、能登半島北岸沖合の断層による逆断層型の断層運動と整合的です。また、この海岸隆起は地震時に天然の防波堤として働き、津波の浸水を軽減したと考えられます。
珠洲市狼煙漁港(折戸地区)における海岸隆起量調査
漁港の位置関係
【研究者情報】
理工研究域地球社会基盤学系 平松 良浩 教授